見た目はホントにそっくりな双子 一卵性双生児なわけだ
つまり遺伝子が100%同じなのだが、性格や気質も見た目ぐらい同じなの?
認知能力とパーソナリティの発達を調べる「双生児法」
遺伝と環境が人間に与える影響研究する / 心理学者・安藤寿康
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=的野弘路 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 安藤寿康・「知能指数は80%遺伝」の衝撃 =3/3= ◆◇
1970年代は、行動遺伝学や双子研究にとっては冬の時代。人種差別の学問というレッテルをはられて、挽回するために費やした10年だったという。政治的な批判にこたえるのはもちろんのこと、方法論的な問題もひとつひとつ洗練させていった。
例えば、当初は別々に育った双子の研究が目立ったそうだ。別々に育ったのに、一卵性双生児はかくも似ているといえば、「すべてが遺伝で決まる」かのようなセンセーショナルな解釈をされやすい。環境の違いを軽視する(遺伝を強調する)方向にバイアスがかかるかもしれない。また、倫理的にもどうか。この問題をクリアした、緻密な双子研究が始まり成果が出始めたのが、安藤さんが大学院に入った1980年代頃だという。
「もともと環境によってこれだけ変わるという研究をしたかったのに、あらゆることに遺伝の影響が入ってるっていう論文ばかりなわけですよ。で、考えてみりゃ当たり前じゃないかと。人というのは遺伝子の産物なんだから、遺伝の影響が現れてくるのは当然なのに、社会科学では結局ナチス以来のタブーのベールに覆われてしまっている。これはむしろ、知的に不誠実だと感じたんです」
というわけで、安藤さんはピッカピカの環境派から方向を修正し、「遺伝と環境」の影響の仕方を見る行動遺伝学を学んでいくことになる。しかし、80年代当時の日本では、この手の研究はまったく人気がなかったそうだ。
「10年間やったら第一人者になれると先生に言われたんですけど、それは、要するに人気がないし、敬遠されている、と。そして、確かに第“一人者”(ひとりもの)になった。文字通り一人しかいないから(笑)。40歳ぐらいになるまで、国際学会に行っても、日本人はわたしだけでした」
というような恵まれない状況の中、予算もほとんどなく、安藤さんの最初の双子研究は、安藤さん自身の配偶者がたまたま一卵性双生児だったこと、そして、知り合いのつてを辿って4、5組の双子を集めて行ったささやかなものになったという。
流れが変わったのが、20世紀も終わろうかという1996年のこと──。
・・・・・・次回“パーソナリティも遺伝で決まる?”につづく・・・・・・
◇ 中年以降は、努力よりも素質がむき出しになってくるぞ、というお話 ◇
・・・https://youtu.be/FgUAK_uHUGo・・・
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//////参考資料///////
■□ 参考資料: 「全ての能力が遺伝で決まる」世界で、凡人はどう生きるか (1/4) □■
知ると後悔するかもしれない… / 早い段階であきらめ、別の道を
= 安藤 寿康 : 慶應義塾大学教授 (行動遺伝学、教育心理学) =
早い段階であきらめ、別の道を
これまでにたくさんの双生児研究がなされているが、およそどんな能力やパーソナリティ、社会性、精神病理などの心理的特徴について遺伝と環境の影響を求めても、たいてい30%から60%の遺伝率が算出される。
また多くは共有環境の影響がまったくないか、あっても少ない場合が多く、それでもある程度その影響が見つかるのは、知能と学業成績、そしてタバコやアルコールのような現物が家にありそうなもの、あるいは若いときの非行のようなきょうだいや仲間がやっているとちょっと魅力的に感じて誘われそうなものに限られる。
環境要因の圧倒的に大きな部分は、一人ひとりに固有、状況によっても異なる非共有環境である。
学業成績だけではない。どんな能力にも遺伝の影響がある。
とすれば、人並み以上になにかを成し遂げたいと思ったとき、遺伝的才能のないところに力を注いでも厳しいこと、ひょっとしたらムダであることに、容易に気づくだろう。
もしがんばっても学業成績が伸びないのなら、それはあなたにその才能がないことの強い証拠である。名門校進学や高学歴で勝負することは早い段階であきらめ、別の道を探すほうがよい。
行動遺伝学が示唆するひとつの、あたりまえの帰結である。
一流になるには遺伝的素質が不可欠
どんな能力の個人差にもかなりの程度、遺伝の影響が反映している。
その割合は30~60%、遺伝と環境の影響、およそ半々と見積もってよい。それは運動でも音楽でも、学業成績でも変わらない。
個人の能力というのは、環境の影響も半分くらいあるから、教え方や努力で、ある程度実感できる程度には変わる。とりわけそれを全く知らない最初のうちは、当然のことながら学べば学んだだけ、それなりに成績は上がる。
しかし努力や訓練によって誰もがオリンピック選手になれるわけではなく、誰もがショパンコンクールに出場できるわけではないように、努力や予備校しだいで誰もが東大に入れるわけではない。
世間の一部には、運動や音楽には遺伝が関係するが、学業だけは努力次第、環境次第と思っている人もいるが、遺伝子に学業とそれ以外の才能を区別する文化的な価値観はないので、そんなのは単なる幻想にすぎない。
どんな世界でも、人並み以上の成果を出すためには、何らかの遺伝的素質は不可欠である。
一般にエジソンは「ひらめきが1%しかなくとも99%努力すれば天才になれる」と言ったと思われているが、彼の真意は「1%のひらめきがなければ99%の努力は徒労だ」ということだったという(浜田和幸『快人エジソン-鬼才は21世紀に甦る』(日経ビジネス人文庫))。
それでも生きるためにこの世界に関する知識は必要である。それらは学ばなければ身につかない。そして知識を持たなければ、それだけ社会で不利になる。
東大・京大・早慶に入れるか否かに関わらず、この世界を理解し、自分でも操れる知識は持っていなければ、適切な行動を自信を持って選択することはできない。
適切な知識を持っていればこの世界はあなたにとってより分かりやすくなり、それによって仕事を楽しみ、うまくすれば儲けることもできる。
・・・・・・明日に続く
◆ 心理学5 遺伝と環境 ◆
・・・https://youtu.be/RuY1Udyyyjs?list=PLy3eeYyvpdHGcxvD7F-3IUWTjlVPj0s1N・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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